公開が迫っている WordPress 5.9 のデフォルト(初期設定)テーマ、 Twenty Twenty-Two の試用版を使ってみました。
「もっと自由になる、もっと自由になる!」と、未来志向で進化し続ける WordPress に祝杯をあげたい気分です、はい♫
※ 2022年11月にこのサイトのテーマを Twenty Twenty-Two に変更しました ※
◆ Twenty Twenty-Two は、ワードプレスの新機能をフル活用するためのテーマ
ワードプレスに、「フルサイト編集」という新しい機能が導入されることは、前回の投稿(こちら)で紹介した通りです。

テーマのカスタマイズ方法が大きく変わるため、「ブロックエディター」が導入されたときのような混乱が生じるのではないかと思われた方がいらっしゃるようですが、同様のことは起きないはずです。
というのは、ワードプレス本体(core)を5.9にアップデートしても、テーマを変更しなければカスタマイズの方法はそのまま変わらないからです。
逆に、Twenty Twenty-Twoのように、フルサイト編集に対応したテーマでなければ、デザイン的な自由度が格段に向上する「テーマの編集機能」を使うことはできない、ということになります。
◇ WordPress 5.9 にはテーマを編集する画面が新たに加わる

前回の投稿とあわせて、既に混乱している方がいるかも知れませんので、要点を念のためにまとめておきます。
WordPress 5.9 で新たに加わる機能によって、
- 本文以外のヘッダーやフッター部分などサイト全体にまたがる部分(つまりはテーマのこと)のデザインを変更することが可能になる。
- そのための編集画面(本文の編集画面とは別)が新たに提供される。
- 新たに加わる編集画面は、ブロックの組合せで構成されているため、本文の編集画面と同じような感覚で使えるようになっている。
- 新たな編集画面を使うには、テーマがフルサイト編集に対応していることが必要。
すると気になってくるのは、フルサイト編集に対応したテーマは、Twenty Twenty-Two 以外にもあるのか、ということです。
◇ 「フルサイト編集」対応のテーマの探し方
札幌Geezerが確認したところ、ワードプレスの公式リポジトリ(「外観」→「テーマ」→「新規追加」)に登録されているフルサイト編集対応のテーマは、すでに30ほどになっています。
今後、一気に増えていくと思いますので、みなさんも是非一度チェックしてみましょう。
探し方は、テーマの「新規追加」画面の「特徴フィルター」で「フルサイト編集」にチェックを入れて絞り込むと表示されます。
ただしこれらのテーマは、現時点では WordPress 5.8 に Gutenberg プラグインを導入して稼働するように作られていますので、5.9 のみで正常に動作するかどうかは確認が必要です。札幌Geezer のテスト環境では、Gutenberg プラグインを有効にしなければ動作しないものがありました。
◆ Twenty Twenty-Two でカスタマイズできることは何か?
◇ 文字の大きさ、行間、文字色などを柔軟に設定できる

図1は、文字に関するの設定項目です。
サイト全体にまたがるような文字の大きさや行間などの設定は、css を学んで設定しなければならないテーマがほとんどでしたが、それが「テーマの編集画面」からできるようになっています。
設定は、「本文テキスト」と「リンク文字」に分けて設定できるようになっていますので、リンクについては別の色を指定をして、さらに太字にするといった設定を行うことができます。
リンクを表示する際に、いちいちその部分だけの表示を変更する必要性がなくなりますので、これだけでも大いに手間を省くことができます。
また、同様の設定をサイト全体だけでなく、「段落」ブロックだけとか「リスト」ブロックだけなど、ブロックの種類単位で指定することもできます。
しかもブロックの種類によっては、パディング(内側のスペース)やマージン(外側のスペース)も上下左右それぞれに指定することができます。
いかがですか?
こうなると、css を学ばれたみなさんにとっては、これを使って細かな設定をする必要性がほとんどなくなっていると思われるはずです。
Twenty Twenty-Twoでは、カスタマイザーとともに「追加 css」を設定する項目が外観メニューからなくなってしまったワケですが、その理由がこれでご理解いただけると思います。
◇ ページの種類毎にレイアウトをカスタマイズすることができるようになった

図2は、Twenty Twenty-Two テーマに付属してくるテンプレートの一部です(全部で11種類のテンプレートファイルが提供されています)。
これらのテンプレートは、ブロックを組み合わせる形で構成されていますので、「テーマ編集」画面内で、自分の好みに変更することができます。
テンプレートは、投稿の編集画面で選択することができるようになっていますので、例えば固定ページに別々のレイアウトを指定するといったことまで出来るようになっています。
以前は、ページ全体のレイアウトを変更しようとすると、php を学ぶことから始めるのが一般的でした。Twenty Twenty-Two(フルサイト編集対応のテーマ)からは、それが不要になったということになりそうです。
このあたりの概要を解説した動画を作成してみました(2022年9月1日に追加)。
◇ 豊富なブロックパターンにも注目しよう

フルサイト編集が可能になったからこそ、ブロックパターン(WordPress 5.5 で導入された機能)が改めて見直されるはずです。
というのは、ブロックひとつひとつを白紙の状態から組み合わせていこうとすると、かえって時間がかかってしまうのです。
レイアウト・デザインに自由さを求めているとはいえ、札幌Geezer のように発信することが目的でワードプレスを使っている場合、手間をかけてでもゼロからサイトを作ることを求めているワケではありません。
ページレイアウトについてはテンプレートからスタートできますので、同じように本文エリアについてもスタート地点となるひな形があるほうが良いに決まっています。
なので今後は、
優れたブロックパターンを提供しているテーマが人気のテーマとなる
はずです。
テーマを選ぶ際には、見本となるサイトを見ることが多いと思いますが、その通りに作るためのブロックパターンが揃っているだけで、莫大な時間の節約になるはずです。
Twenty Twenty-Two が提供しているブロックパターンのいくつかをこちらのテストサイトで実際に使ってみましたので、参考まで。
※「ブロックパターン」とは何かという点については、『WordPressの最新標準テーマ Twenty Twenty-One とテーマの未来像』が参考になると思います。動画付きで説明しています。
◆ フルサイト編集が不要な場合は、削除してしまってOKか?
サイトの形が既に出来上がっているみなさんの場合には、WordPress がアップデートされても、すぐにテーマを Twenty Twenty-Two に切り替えようという方は少ないと思います。
札幌Geezerも同じです。
特に、cssを使わなくても細かな設定ができるようになっている高機能テーマをお使いの場合やページビルダープラグイン(説明はこちら)をお使いの場合には、切り替える必要性は感じられないはずです。
では、使わないからといって自動的にインストールされる Twenty Twenty-Two テーマを削除してしまってもいいかというと?

札幌Geezer は、削除しません。
その理由は、「標準テーマ」にはトラブルに見舞われたときの重要な役割があるからです。
ワードプレスを長く使っていると、プラグインをインストールしたり更新したりした時に、トラブルに見舞われてしまうことが、あるものです。そんな時に登場願うのが「標準テーマ」で、まずはテーマを標準のものに切り替えて、同じ現象が発生するかいどうかを確認します。
同じ現象が発生しなければ、テーマ側に問題があるということになりますよね?
ワードプレス謹製のテーマ( “Twenty XX” という名称になっている)には、そうした役割があることを理解しておきましょう。ただ単に初期設定のデフォルトテーマというワケではないのです。
このサイトでは、デフォルトテーマとは呼ばずに「標準」テーマと呼んでいるのは、そんなワケです。
◆ 今もクラシックエディターをお使いのみなさんへ
「誰でも自由に出版できるようにしたい。」
ワードプレスの創始者 Matt Mullenweg 氏の言葉です。ネット上のことですので、「出版」は「発信」と置き換えてOKだと思います。
札幌 Geezer がワードプレスにハマっている最大の理由が、同氏の「未来志向」的な考え方です。このサイトの自己紹介にも書きましたが、ワードプレスがこれからどう変わっていくのかに大いに興味があるため、新しいことには敏感に反応してしまいます(笑)。
でもだからといって、みなさんもそうしましょうという積もりは全くありませんし、WordPress 5.8 のまま使い続けるという選択肢もありだと思います。
◇ ワードプレスのバージョンを変えない方法
実は、ワードプレスには、特定の古いバージョンを維持したまま使い続けることができるようにもなっています。
それ用のプラグインがありますので、探してみて下さい。
札幌 Geezer は使っていませんが、プラグインを導入するとセキュリティ関連の更新はきちんとされるようになるはずです。なので、5.8 のままで更新せずに放置するということとは、全く意味が異なります。ワードプレスは、放置が一番危ないということは、みなさんもうご存知だと思います。
ただしこの場合、プラグインとの相性の問題が将来発生しかねませんので、自己責任でお願いします。
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